海外現地法人インタビュー | 第2回 |ビストロ フィオーレ グループ 江村氏

ビストロ フィオーレ グループは、2001年に中国上海で創業。
イタリアンレストラン、スパニッシュバー、ミュージックバーなど上海にて
5店舗を展開しています。

ゲストスピーカー
ビストロ フィオーレ グループ オーナー 江村太朗氏
ビストロ フィオーレ グループ創業者。2001年より上海にて事業を立ち上げる。

発展著しい上海で新たなチャレンジ

–上海へいらっしゃるようになったきっかけを教えてください。

江村 元々は大阪で一料理人をしていました。若い頃はバックパッカーで世界中を旅したり、音楽でベースをやってバンド活動をしたりしていたのですが、ちょうど32歳の頃に、自分である程度料理ができるようになって、独立したいと考えるようになりました。ちょうどその頃、上海に駐在していた父親が戻ってきまして、どこかで独立して商売ができるようになればと相談したところ、日本は資金も大変だし、競争も激しいので上海でやってみてはどうかと勧められました。

当時は2001年頃で、建設ラッシュもすごく、上海はこれから伸びていく状況にありました。当時日本料理は数店舗しかない時代で、イタリア料理もイタリア人が経営している本格的なレストランか、もしくはホテルの中にあるようなレストランしかありませんでした。その頃日本人駐在員がどんどん増えている状況だったのですが、その割には、日本人が必要としているレストランが少ない印象を受けました。当時はまだ日本料理レストランの中に、寿司や焼き鳥やカレーなどのジャンルがあるのみでしたので、パスタやピザなどを提供するカジュアルな洋食屋さんがいいのではないかと、現地の事情をよく知る父親からも勧められたのがきっかけです。

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様々な困難を乗り越えて軌道に

–開店に至るきっかけ、これまでの歴史を教えてください。

江村 一店舗目は、古北の万科広場に開業しました。バックパッカーをやっていた時代に、ワーキングホリデーを活用してカナダに居住したりなど、外国や異文化に抵抗がなく、中国の上海でお店を開業することに対しては、あまり違和感はありませんでした。店舗探しの際に、たまたま父親と一緒に、父親の行きつけの中華料理屋さんに立ち寄りました。その中華料理屋さんのオーナーに、こちらで店舗探しをしていることを相談すると、そのまま意気投合し、一緒にやりましょうという話になり、そのお店のスタッフはそのままに、内装やメニューを変更し一店舗目をスタートさせることができました。

でも来たばかりの頃は中国語ができなくて本当に苦労しました。店舗でスタッフに怒ったり伝えたりする事ができないため、とても悔しくて、当時は中国語を本気で勉強しました。おそらく人生の中で一番勉強した時期なのではないでしょうか。辞書も手垢でボロボロになるくらい勉強しました。これを受験勉強でやっていたら、もっといい大学に入れたのではないかと思いますが(笑)

料理に関しては、なるべく安くて、敷居が低い方がいいのではと考えていました。当時の西洋料理のレストランやワインに対するイメージは、記念日で利用するなど、敷居の高いところだったと思います。しかし、かつてチリに旅行で訪れ、レストランでワインを頼んだ際に、ワインがポリタンクみたいなもので出てきて、プラスチックのコップでゴクゴク飲むというスタイルに大きな衝撃を覚えました。その時にやはり本当のワインの飲み方はこれだと。その時の事がすごく頭に残っていて、自分がお店をやるとすれば、ワインが気軽に飲めて、日常使いでカジュアルに楽しめる西洋料理レストランにしようと考えました。

店舗を軌道に乗せ、数年が経過した後、実は共同経営者に利益シェアの件で騙されていた事が発覚しました。通常よりも多くの家賃を請求されており、本来利益折半でやるべき部分を多く支払わされていたということです。当時はそういったこともあり、店舗の移転をしたかったのですが、なかなか良い物件がなく困っていたところ、同じ業界の経営者仲間から、古羊路に良い物件があるので、一緒にやりませんかと誘っていただきました。面積の大きい店舗でしたので、他の日本料理屋さん2店舗とシェアして使う形で、無事店舗移転をさせることができました。あの頃に経営者仲間が救ってくれなかったら今はどうなっていたか分かりません。

その後、地下鉄工事の影響で店舗の入っていた建物が立ち退きになり、今の伊犁南路の店舗へと移ってきました。昨今上海の市中心部において、多くの路面店が立ち退きになっており、店舗探しはますます難しくなっています。以前訪問したことのあるマレーシアでは、当時ほぼ路面店はなく、レストランなどはショッピングモールに集中し、街中は非常にすっきりとしていてとても綺麗なイメージでした。上海もそうした方向になっていくのではないでしょうか。

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今の伊犁南路の店舗は、オーナーさんと元々知り合いだった関係もあり、スムーズに借りることができました。初めは1・2階で「ビストロ フィオーレ」の営業をスタートさせたのですが、地下にあったバーも一緒にやってもらえないかとオファーがあり、最終的には新業態としてバー経営も手がけることになりました。

上海エリアで5店舗を展開

–グループの店舗展開についてお聞かせいただけますか。

江村 現在ビストロ フィオーレ グループとして、上海にて5店舗経営しています。浦西には古北の伊犁南路と栄華東道にイタリアンレストランの「ビストロ フィオーレ」が、延安西路のオバマ広場にスパニッシュバーの「フィオーレ バル」があります。浦東には日本人学校近くの錦延路に「ビストロ フィオーレ」があります。また、伊犁南路にある古羊路店の地下には、音楽やライブを楽しめるバー「LL Bar」があります。ここでは、ライブを1〜2週間に1回開催しています。音楽のジャンルは幅広くて、ロックやジャズ、アコースティックなど様々です。

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スタッフとの交流を大切に常に店舗の状況を把握

–中国でのビジネスにおきまして特に心がけている点を教えてください。

江村 中国でのビジネス展開において特に心がけていることは、「スタッフとの交流」これに尽きます。そのことに頭の中の80%ぐらいは使っています。新しいメニュー考えるなどは、自分で解決できます。でもそれ以外の事は、やってもらわないといけない、伝えなければいけない、私を信用してもらわなければいけない。忠誠心と言いますか、やはりその辺が滅茶苦茶難しいです。一番気を遣って悩んでいる点です。これはもう店舗をオープンしてからずっと悩み続けています。

スタッフとの交流は、一緒にご飯食べに行ったり、時には怒ったり、時には優しくしたり、非常に気を遣っています。スタッフ個々に性格も違いますし、対応の仕方も変わってきます。どこに線を引いたら良いかが分からず、本当に苦労をしています。特に今は5店舗と店舗数が多いので、私の分身をつくらなければなりません。だいぶ現場の責任者が育ってきていますが、ある程度まではできてもその先は無理という現実があり、更なる店舗展開を目指す上では壁にぶつかっています。

もし仮に今以上の店舗展開を考えるとすると、地方を検討することになると思います。地方の消費力もだいぶ上海に近づいてきていますし、同業他店の地方進出も進んでいます。幾つかの知り合いの店舗でも、蘇州や無錫、杭州、武漢などへ進出をしていますし、東南アジアへの進出も見受けられます。

でもやはり私自身の考え方としては、頻繁に店舗に顔を出せる範囲で出店したいという気持ちがあります。現在の5店舗も浦東店以外は、ほぼ自転車で行ける距離です。出来るだけ毎日店舗に顔を出したいと考えています。スタッフの顔を見て、元気かどうか、顔色はどうかなど確認します。お客様に直接サービスをするスタッフのコンディションは非常に重要ですし、そうしたことによって、味やサービスをキープしているという側面もあります。

幅広い層に愛されるお店づくりを心がける

–店舗のブランディングにつきましてお伺いできますでしょうか?

江村 ロゴや店舗の雰囲気などコンセプトとしているのは、暖かく、ふわっとした親しみがあるようなものをイメージしています。格好つけたものではなく、気楽でカジュアルな感じです。当店のお客様は、カップルやファミリーはもちろん、女性同士や男性同士でいらしたり、非常に幅広い層に受け入れられています。ロゴにしても、誰でもウェルカムなニコニコした明るさをイメージしています。

料理も格好つけず固苦しくなく、ボリュームも多いので、その辺は中国の方にも受け入れられている要因になっています。また、その他様々な国籍のお客様も来店いただき、その辺は当グループの大きな強みになっていると思います。韓国の方で「LL Bar」が大好きな常連さんがいるのですが、いつも部下の方やお客様と一緒にいらして、食事をしながら、ご自分で用意した好きな音楽を流して楽しんでいらっしゃいます。

デザイナーさんがお店のノリを理解してもらっているので非常にラク

–デザイナーさん(Hygmagmaさん)とのお仕事について聞かせていただけますか。

江村 店舗のロゴやメニュー、POPやポスターなどの制作を、上海や日本でデザイナーとして活躍されているHygmagmaさんにお願いをしています。3〜4年ぐらい前に、親しい知り合いの方からご紹介していただきました。私の性格や、「ビストロ フィオーレ」という店舗がどういうノリなのかなど非常によく理解していただいていますので、とても助かっています。イメージを言葉で表現するのは難しいことですが、いつも「こんな感じで」とお願いをすると、その通りのものが出てくるので、丸投げできちゃうのが楽です。メニューなどは、マイナーチェンジが頻繁にありますし、店舗も多いので、通年で何かしらお願いをしています。

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例えば、このレコード型のメニューを見てください。このアイデアは自分でもよく考えたなあという大ヒットです(笑)これ絶対他のお店にはないですよね。本物のレコードの上から文字を入れてプリントしています。これもHygmagmaさんに依頼をしました。デザインだけでなく、印刷も含めてコーディネイトしていただき、狙い通りのものが完成しました。このレコード型のメニューは、まず皆さん「えー」とびっくりされます(笑)

既存のリソースを生かして新たな展開を

–今後の目標や展開などをお話いただけますか。

江村 今ある店舗を生かして、店舗の中でできる新しいことを模索していきたいと考えています。例えば、店舗の中でお花を販売する、レコードを販売する、料理教室を開催するなど、現状ある中で何か別のことを展開するということにチャレンジしていきたいと考えています。ここの「LL Bar」も音楽と料理をコラボレーションさせたものになるのですが、皆があまり思いつかないことをやれたらと考えています。また、レストランとは全く異なる分野にもチャレンジしていきたいと思っています。

–最後にユーザー様へ何かPRがございましたらお話ください。

江村 これまで上海にて15年間経営をしてきましたが、16年目が来るという保証はありません。常に初心を忘れず、傲ることなく真摯にやっていきたいと思っています。皆さま、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

また、今特にPRしたい店舗は古羊店地下の「LL Bar」です。先日も幼稚園のお子さんのお誕生日会を開催したり、カラオケ大会を開催するなど、ライブ以外の用途でも気軽にご活用いただいています。またプロジェクターを使ったビジネス目的の会議にもご活用いただけます。様々な用途にご活用いただけますので、どうかお気軽にお問い合わせください。

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本インタビューに登場したクリエイターのHygmagmaさんは、本サイトの登録パートナーです。プロフィールなど詳細はこちらから

 

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